や16ぁ

やる気なんて初めから無かったんだなぁ

あるラーメン屋の盛衰(でも盛は全くない)

会社の近所のラーメン屋が別のラーメン屋に変わっていた。もともと評判はあまり良くなく、こうなることはある程度予想できていたが、実際現実になるとそれはそれで切ない気持ちになり、黄昏てみたくもなる。
「メニューの多いラーメン屋はたいてい流行ってない」という至言にもあるように、メニューの多いラーメン屋は元々メニューがそんなに多くなかった。しかし人気がないからテコ入れでメニューを追加していった。チェーン展開しているわけでなければ、メニューが多くなるということはあまりないはずなのだ。
件のラーメン屋も、最初はそんなにメニューが多くなかった。あっさり味とこってり味のスープの2種類。こってりの方は細麺と太麺を選べるものの、基本はその2種類であり、あとはトッピング数種と餃子、ごはんものといったサイドメニュー。良くあるラーメン屋だった。ただ、このラーメン屋の弱点はスープがあまりおいしくなかったことで、あっさりの方は味がなく、こってりの方は油っぽいもののスープ自体のコクはなかった。この時点で、後の数々のテコ入れは約束されていたようなものだった。
まず味噌ラーメンが増えた。開店して半年くらい経ったときだろうか、記念すべき最初のテコ入れである。当然メニューにも追加されたのだが、店舗入口にあったメニューはあっさりorこってりのみの2択メニューだったため、そこに味噌が枠外に追加された。最初のアップデートで既にテコ入れバリバリのメニューは涙を誘った。
このころ、トッピングメニューから揚げニンニクが消えた。スライスしたニンニクをカリカリに揚げたものではなく、玉のニンニクを揚げたもので3個で100円というリーズナブルな価格とホッコリとしてて甘みがあって美味しかったところが私のハートをつかんでいたのだがきっと採算が取れなかったのだろう。無料の生の搾りニンニクは残っていたし。生のニンニクは結構エグいと思うんですけどね。
夏も近くなったころ、新たなテコ入れが発生した。つけ麺の登場である。当時、確かにつけ麺がちょっとしたブームになっていたような気がする。スープさえ用意すれば麺はラーメンの麺を代用できるし、ってそのスープを開発することが困難なのだと思うのだが。ともあれ、つけ麺も2種類リリースされた。味は・・・、ラーメンよりも美味しかったと思うけど、つけ麺のスープってどうしてもラーメンのそれよりも濃くなるのであまり何度も食べる気になれないというか・・・、一回食べたら飽きるんだよねー。
味噌、つけ麺の登場で順調にメニューは膨れ上がっていたが、ここでラーメン以外のメニューの充実も図ってきた。チャーハンの登場だ。ラーメン屋にはチャーハンが常設してあるものと思っていたが、意外にそうでもないようで、このラーメン屋にもチャーハンがなかった。私も気づいていなかった。チャーハン好きなのに。おそらくチャーハンに手を出す前にまずラーメンを何とかしろという気持ちがあったからなのかもしれない。このチャーハン、店側にとっても満を持しての登場らしく、わざわざ予告までしていた。中には予告だけを目にして実際に食べたことのない人もいるだろう。結局普通のチャーハンだった。
そろそろ店舗スタッフ的にもこれ以上のメニュー増加はキツいなーと思えてきたころ、更なるテコ入れが行われた。自家製麺への切り替えだぁ!多分、スープのみならず、麺でも個性をアピールしようとする企みがあったと思うのだが、実際のところ麺のクオリティだけが向上してもラーメン全体への品質の向上となるとたかが知れているし、何よりその自家製麺がそれまで使っていた麺よりも品質的に上という保証はどこにもない。正直私の鉛の舌は麺の変化による味の向上が感じられなかった。
その後しばらくして、別のラーメン屋に変わった。今度のラーメン屋は全国の名店から1軒チョイスして期間限定でその店のラーメンを提供するというスタイルらしい。田舎の場合、下手なオリジナルラーメンを出されるよりもそちらのほうが良かったりするので案外前より人が入るかもしれない。次は成功するといいなー。