や16ぁ

やる気なんて初めから無かったんだなぁ

ある日、この場所で

ラーメン屋で一人夕食を食べようとしていた。注文をすませ、ぼうっと虚空を眺めていたら、私を呼ぶ声が。ああ、オマエか。珍しいな、一人か。そういえば、奥さんはお産なんだっけ。生まれる直前なのか、生まれた後なのか、今がどういう状況なのか知らないけれど、特に詳しく知りたいわけでもないし、話題には出さなかった。興味がないといえばヒドい話にも聞こえるが、まぁ時が経てばわかることだし。
彼は一人の夕食に慣れていないようで、表に停めてあった私のバイクを見て、もしやと思い店に入ってきたらしい。ああ、寂しいんだなぁ。私にはあまり馴染みの無い感覚だ。
椅子一つ挟んだカウンター席で他愛も無い会話をしつつラーメンをすすった。静かで会話も少なかったが、それで良かったんだと、私は思う。
また一人でメシ食うのが嫌だったら付き合ってやる約束をしたが、彼は多分そういう電話をしてくることは無いだろう。その辺の扱いが適当だから。だが私は彼のそんなところは嫌いではない。