や16ぁ

やる気なんて初めから無かったんだなぁ

ブレスオブファイア(2)

そういえば、印象的だったイベントがもう一つあった。

最後に仲間になるキャラであるモグは、夢の世界に閉じ込められており、それを助けることで仲間になる。その夢の世界にはモグの心を司る感情たちがいて、その中の一つである勇気がとても弱った状態になっている。主人公たちは夢の世界の中にダイブし、夢の世界にいるアニマと賢者と協力して、最後には全ての感情をまとめ上げて勇気を奮い立たせる、という流れである。

そこにちょっと引っかかるものがあった。アニマと賢者という感情とは関係のない名前の存在である。

アニマといえばユング心理学における男性の中にある女性のイメージとして存在する元型。とすれば賢者は老賢者のことを指すのだろう。男性の中で老賢者とアニマは父と娘のような関係らしいのでアニマと老賢者とともに行動するというのもなんとなく納得できる。

言われてみれば感情連中にもモグを優しく包み込むようなことを言いながら絶望の中に縛り付けるグレートマザーのような存在や本来のモグと対象的な影とも言える存在もいた。ひょっとして本当にユング心理学RPGの一つのイベントに落とし込んだのだろうか。

ゲームでユング心理学といえば「ダライアス外伝」である。全てのプレイヤーが当時サントラを購入し、ライナーノーツの解説をきっかけにユング心理学を学んだと聞く。実際、「心と脳で、視、聞き、感じる人間にとって「元型」の働きはあまりにも大きく、今、我々が目にしているものの存在自体にさえ疑念をいだかざるを得なくなってくるのである」という文章はサントラ発売から26年経った今でも示唆に富んている。

そんな「ダライアス外伝」よりも前に本作は発売されている。実際にユング心理学を元ネタにしたのかどうかは分からないが、もしそうならゲームにユング心理学を取り入れたパイオニアだったのかもしれない。