や16ぁ

やる気なんて初めから無かったんだなぁ

キサラギ

私の住んでいる地域は映画館の数が少ないので話題作やあらかじめヒットの予想されるものしか上映されない。なので時期はずれとはいえ本作のような映画が上映されることはかなり稀である。もともとCMのナレーションを若本規夫がやっていたというくらいしか事前情報が無かったが、出演俳優が割と好きな俳優ばかりということもあり見に行った。
私が期待した映画は、たいてい見たとき期待外れになることが多い。私の期待が大きすぎるのか、期待と実際の内容のギャップのためにガッカリするためであり、作り手側からしたら大きなお世話だが、観客は得てしてワガママなものだし。
と、見る前は結構期待していた映画だったのだが、見てみたら予想以上に面白かった。メインストーリーは、自殺したアイドルの本当の死因を探っていくという内容で登場する5人にもそれぞれ秘密がある。オフ会という事もあり、各々が初対面で素性が知れないというサスペンス要素もある。ただ、あくまで要素であり、サスペンスというにはあまりにも突飛な展開も見せるため、やはりコメディである。
結局のところ5人全員が納得できる推測を導き出したところで終わるのだが、実際のところ真相は誰にもわからないわけで、じゃあこの集まりに、彼らが出した結論に何の意味も無いのかというとそうではなく、この集まりによって如月ミキは文字通りアイドルになったわけで。彼らが出した結論は確かに考えうる最も真実に近い結論かもしれないけど、それはあくまで彼らの中での如月ミキの結末なのだからなー。アイドルって死んだ後もアイドルなんだな。
それ以外でもアイドルオタクの特徴が良く出ている脚本だったと思う。特にオタクは議論好きというか語り好きが多いのでこういう流れはごく自然。
役柄的な事情もあるだろうが、良かった順として「香川>小栗>ユースケ>塚地=小出」という感じか。後出二人は役柄のせいでうるさい存在であり、決して悪くは無い。しかし、味わい深すぎる香川、個人的にはこういう役柄のほうが安心して見られる小栗、珍しく真面目な役柄のユースケが良かった。それだけのことである。
本作は如月ミキの死因に加え、映画を見ている観客に対しては如月ミキの顔そのものが謎にされていたのだが、個人的には如月ミキを誰が演じていたかの方がよっぽど大オチだった。しかし濃いファンがついているアイドル、という役柄からして、この人選は間違いではないと思う。