や16ぁ

やる気なんて初めから無かったんだなぁ

大人の階段って何段まであるのですか?

3連休の中日に熱が出るなんて本当についていない。まったくとんだわがままボディーだぜ、って程度くらいにしか思っていなかった。季節の変わり目というにはもう遅い時期ながらも、風邪を引きやすい季節なんだと適当に理由をつけて割り切った。次の日もそれが続いたとき、ちょっとタチの悪い風邪なんだと思って、ぐっすり寝ていれば治るって、買い置きの風邪薬を飲んでおけば大丈夫だろうって、そう思っていた。
体育の日も過ぎてこの状況が3日も続くと、さすがに何かおかしいなと思うもので医者に見てもらおうと思い病院に行った。休日明けということもあり病院は混み合っており、私も受付を済ませ、待合室の椅子に座った。待ちに待って1時間くらい経過したところだろうか、脳内節子が私に問いかける。
「なんで病院の椅子はツルペタやの?」
問いかけた主が節子だったのかどうかは定かではないが、イントネーションが節子っぽかったので節子とする。それはさておき、椅子の触り心地、座り心地を表すのに「ツルペタ」という表現が適切かどうか甚だ疑問に感じるが、確かに病院の椅子はツルツルとした材質で冷たいし、座ってもペタッとしていて弾力が無い。ツルペタときてこれにツンデレが加われば即釘宮理恵に出演オファーが行くわけだがそもそもツンデレ椅子って何なのかサッパリわからないし今は欲しい椅子の話をしているわけでもない。
熱のせいなのかツルペタ椅子のせいなのかわからないが背中だの腰だのが痛くなってきたころ、あることに気がついた。ここは病院でいわゆる総合病院で、ということは風邪などの軽症患者は来るなシステムで初診の私の診察料は高い・・・!無思慮で来てしまったことを後悔しつつももしやと思い壁の張り紙を見てみれば案の定思ったことがそのまま書かれていやがるぜチクショーッ!
10分くらい悩んだだろうか。本気でキャンセルを考えていた。もともとたかが風邪だろうくらいに考えていた発熱だ。この病院から見れば診療所行っとけよプゲラ、くらいの存在に違いない。病院で診察キャンセルというシステムがあるのかどうかわからないし今までの待ち時間を無に帰するのは心苦しいが、今ここでキャンセルして行きつけの――というと語弊があるが――町の診療所に行き先を変えた場合との出費の違いはちょっとシャレにならない差が出てくるはず。
腹を決めて受付に行く。
「キャンセルしたいんですが。」
「お時間の都合でしょうか?」
「・・・えぇ、まぁ。」
言えねぇ!「診察料高そうだし多分風邪だと思うんで町医者行きます」なんて言えねぇ!さらには「次の次で順番が回ってくるようですので、折角今まで待たれたことですし、診察受けていかれたらどうですか?」だって。次の瞬間、お昼のアルタの観客ばりに「そーですね!」と心で泣きながら声を絞り出したわがままボディーがいたといいます。
そして診察。今日までの症状を話し、聴診器を当てられ、腹部の触診も受けたところ、血液検査、尿検査、胸部レントゲンをとれという。いつ帰れるのかわからないまま、駆けずり回って検査を受け、再び診察室に。レントゲン、血液検査は問題なく、話は尿検査の結果に移る。
尿検査・・・。人間、大人になったという自覚はなくても、周囲は確実に年相応の話題にシフトしていく。思えば、先日実家に帰ったときに親と交わした会話に「γ-GTP」、「コレステロール」、「中性脂肪」、「まだ彼女はできないのか?」、「見合いする気は無いのか?」といったワードが飛び出していた時点で私を取り巻く世界は確実に変わっていた。そんなことを思いながら医師の説明を聞いていると、熱の原因は泌尿器にあるのではという。結石の可能性があるとも。
ケッセキ・・・結石?「ケッセキ」を変換して「欠席」と一発変換できたはずの私の脳内漢字変換はこの瞬間崩壊した。今まで無縁のものと思っていただけに、この熟語の持つパワーは泌尿器としてしか使わなくなって久しいこと以上に重くのしかかってくるのでした。人はこうして(病んだ)大人の階段を上っていくのですね。
ま、最悪結石ということでしかなく、多分細菌感染だから抗生物質で良くなるだろう、というのが医師の見解で金曜日に再診察ということに。つまり明日。こんなことしてる場合じゃないんだけどな。
ということで診察料はホントに高く、体温は上がって体は熱くなるし財布は寒くなるし。そういえば、「熱上がったら解熱剤出しますんでそのときはまた来てください」と終わり際に軽く言っちゃってくれましたがホントに夕方とか夜に高熱でたらどうしてくれるつもりだったんでしょうか先生。
その後、夕方6時ごろ40度近い熱が出て必死に病院に行ったら当直の医師が産婦人科医だったという素敵なエピソードが待っているわけですが、そんなことまで書く気分も気力も無いのでこの辺で。
あ、最後に、今回の一部始終を上司はじめプロジェクトのメンバーに報告したらなぜか私が来週から尿管結石で入院することになってしまったのできっと私は来週から入院するのでしょう。
なので今後しばらくタイトルが「薄味だなぁ」ばかりになるんじゃないかと思います。