や16ぁ

やる気なんて初めから無かったんだなぁ

アーティスト成分表とサイトロン1500シリーズの思い出

veena!(http://www.veena.jp/home.php)のサービスで、iTunesのライブラリを基にしてアーティストの成分表を出力するというものがあったので試してみた。といってもはてなダイアリーではscriptタグが使えないので成分表自体は貼れないのだが。
http://veena.jp/member.php?disp_id=1864

  1. ZUNTATA / 8.52%
  2. 新世界楽曲雑技団 / 6.81%
  3. コナミ / 5.64%

3位のコナミBEMANI系楽曲が多数を占めているためだが、ZUNTATAと新世界楽曲雑技団の割合が多いのは90年代に両者が良質なサウンドを提供し続けてきたからなのだけれども、それ以上にこの時期に隆盛を極めたポニーキャニオンサイトロンレーベルからの発売だったことが大きい。
ゲームミュージックのアルバムの価格は大体2500〜3000円くらい。サイトロンの場合、複数タイトルの曲を一つのアルバムに収めることで先述の価格を維持していたわけだが、'90年くらいから単体作品のアルバムを1500円という低価格で売り出す「サイトロン1500シリーズ」を展開する。当時、サイトロン所属の主要なメーカーはカプコンタイトーSNKデータイースト(セガもいたと思うがいつポニーキャニオンを飛び出したかは忘れた)。このうちカプコンは確か1500シリーズで作品を提供することは無く、システム基板がCPSIIに移行するあたりでソニーへ移籍したため、カプコンを除いた3社の作品がメインとなった。
データイーストのサウンドチームであるゲーマデリックはマニアックなファン層を得たものの、作品自体が私の家の近所のゲーセンに広まることが無かったため、サントラを購入することが無かった。タイトーは近所に直営のゲーセンがあったことが幸いし、ややマイナーな作品も触れることができた。SNKNEOGEOがそれこそ全国津々浦々のゲーセンに広まっていた。当時は対戦格闘ゲーム全盛期なのもあった。
タイトーはシステム基板がF2からF3に移行するのに合わせるかのように、サントラに収録する音源を変更*1した。それと同時に1500シリーズから価格が上がり2000シリーズとして発売された*2データイーストが開発プラットホームをNEOGEOに変えたため、サイトロンレーベルは2000シリーズのタイトー作品と、1500シリーズのNEOGEO系作品の2本柱になる。思えばこのころが一番サントラを購入していたころだった。タイトー作品は毎回高クオリティの楽曲を提供しており、ゲーム自体はアレでもサントラを購入させる原動力になっていた。一方NEOGEOも対戦格闘を多数リリースし、そのジャンルゆえに多彩な楽曲を収録。NEOGEOの荒さはあれど独特のサウンドに魅了された。もっとも、成分表の割合がここまで多くなったのは、対戦格闘ゲームのサントラによるある「キャラボイス&SE」が収録されていることにあると思われるが。
90年代も半ばを過ぎたころ、タイトーは新基板FX-1に移行。それとともに自前のレーベルを立ち上げ、サイトロンレーベルを飛び出す。そしてNEOGEOサイトロンレーベルの大黒柱となった。
SNKは相変わらず対戦格闘を連作し、作品自体の出来と共にサウンドも円熟味を増していた。また、アレンジアルバム(もちろん1500円ではない)を発売し、そのアルバムに収録した楽曲をNEOGEO CD版に収録するなんてこともやっていた。1500シリーズだけでは採算が取れなかったのだろうか。
98年にデータイーストがアーケードから撤退。SNKもKOF2001の発売を待たずして倒産。そのころ私は就職したのもあって対戦格闘から離れ、サントラを買うことも無かった。気づけばサイトロンレーベルからアーケードゲームのサントラを出す会社はなくなっていた。その後、SNKは紆余曲折あってSNKプレイモアとなり、今でもサイトロンレーベルでサントラを発売しているが、もちろん1500円ではない。さすがにそれは無茶な話だ。
サイトロン1500/2000シリーズは当時としても非常に安価でありながら十分な内容のサントラを提供し、多くのゲームミュージックに触れる機会を与えてくれた。その数々の名盤に出会えたことを私は幸せに思う。

*1:基板のものを収録するのではなく、ZUNTATAのマスターデータを収録。これにより、ZUNTATAが制作した時点でのオリジナル音源が収録されることとなった。オリジナル音源と基板収録の音源は微妙に音のバランスが異なっているらしく、「レイフォース」では基板収録時に筐体から流れることを考慮に入れて低音を強化しているという話も

*2:第1弾は「レイフォース」。F3システム作品はその前の「グリッドシーカー」が最初らしいが、「グリッドシーカー」は1500シリーズ