や16ぁ

やる気なんて初めから無かったんだなぁ

人権擁護法

なにげにネット界隈では大騒ぎになっているこの法案。マスコミが報じないのは法案がマスコミに歩み寄ったからというのが主な理由。人権擁護という目的は決して悪いことではないが、なぜこの法案が大騒ぎになるほどの問題点を抱えているか、法案の条文を読んで見つけることにした。
で、まず第7条。

第七条 人権委員会の委員長及び委員は、独立してその職権を行う。

この「独立」というのが何に対する独立なのか。既存の組織とは全く異なる、独立した存在ということなのか、まさか三権から独立した存在なのか。
ちなみに、人権委員会とは、法務大臣下に置かれる、委員長1人、委員4人から構成される委員会である。委員長及び委員は、「人格が高潔で人権に関して高い識見を有する者であって、法律又は社会に関する学識経験のあるもの」という基準から選ばれ、両議院での同意を得て、内閣総理大臣が任命する役職である。つまりは、特に何らかの資格が必要というわけではなく、選抜のための明確なガイドラインが存在するわけでもない。言ってしまうと結構何でもあり。その下に地域に密着した存在として人権擁護委員が存在する。こっちの選定基準はまず無いに等しい。

続いて、第44条。

第四十四条 人権委員会は、第四十二条第一項第一号から第三号までに規定する人権侵害(同項第一号中第三条第一項第一号ハに規定する不当な差別的取扱い及び第四十二条第一項第二号中労働者に対する職場における不当な差別的言動等を除く。)又は前条に規定する行為(以下この項において「当該人権侵害等」という。)に係る事件について必要な調査をするため、次に掲げる処分をすることができる。
  一  事件の関係者に出頭を求め、質問すること。
  二  当該人権侵害等に関係のある文書その他の物件の所持人に対し、その提出を求め、又は提出された文書その他の物件を留め置くこと。
  三  当該人権侵害等が現に行われ、又は行われた疑いがあると認める場所に立ち入り、文書その他の物件を検査し、又は関係者に質問すること。
2  人権委員会は、委員又は事務局の職員に、前項の処分を行わせることができる。
3  前項の規定により人権委員会の委員又は事務局の職員に立入検査をさせる場合においては、当該委員又は職員に身分を示す証明書を携帯させ、関係者に提示させなければならない。
4  第一項の規定による処分の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

ここから、人権委員会には、人権侵害の疑いがある者に対して調査目的で関係者への出頭要請、文書の提出要請、立ち入り調査までを行うことができる権限を持っていることがわかる。現地調査までの明確なやり取りが示されていないので、いきなり出頭要請なんてこともありえることになる。これってかなりヒドい話だと思う。賛成派はこの出頭要請に応じずに話を進めることもできるといっているが…。

さらに、第88条。

第 八十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の過料に処する。
  一  正当な理由なく、第四十四条第一項第一号(第七十条又は第七十六条において準用する場合を含む。)の規定による処分に違反して出頭せず、又は陳述をしなかった者
  二  正当な理由なく、第四十四条第一項第二号(第七十条又は第七十六条において準用する場合を含む。)の規定による処分に違反して文書その他の物件を提出しなかった者
  三  正当な理由なく、第四十四条第一項第三号(第七十条又は第七十六条において準用する場合を含む。)の規定による処分に違反して立入検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
  四  正当な理由なく、第五十一条(第七十一条第二項又は第七十七条第二項において準用する場合を含む。)の規定による出頭の求めに応じなかった者

出頭要請を拒否したら30万払わなければならないと書いてあるんだが…。これってかなり乱暴な話じゃないか。

で、この法案に対する賛否だが、公明党議員の賛成がやけに多いという時点でこの法案の目的がなんとなく見えてくるというものだ。どう考えても行き着く先は、特定政治団体、宗教団体保護にしかならない上、このスパルタンな法案は言論弾圧といわれても仕方がないと思う。ちなみに共産党はこの法案に真っ向から反対している。さすが伊達に弾圧されていない。ナイス永遠の野党
というわけで、私はこんな穴だらけの法案に反対である。法律って性悪説でキッチリ作っていかないとダメだ。人はいくらでも法の穴を突くことができるんだから。もちろん人権委員会もな。