や16ぁ

やる気なんて初めから無かったんだなぁ

TGMシリーズを騙る(1) 〜TGMが発表されるまで〜

いまさらなんでテトリスごときに5000円も出してしかも本体同時購入なんだ?と思っているTGMの凄さがいまいち良く解っていない人たちのために、TGMシリーズについてというかTGMにたどり着くまでのテトリスの歴史を遡ってみたい。
どのハードでテトリスの初プレイを経験したかは人それぞれだが、大別してアーケードとコンシューマに分かれる。コンシューマのテトリスではファミコン用にBPSがリリースしたテトリスが最初と思われる。このテトリスはレバー下で回転、Aボタンで落下という珍妙な操作系だが、これは落下方式がボタン押下時に即落下のハードドロップ方式だからかもしれない。PC9801版もカーソルキー下で回転、スペースキーで落下という操作系だった。
アーケード版はセガから発売され、1ボタンの回転、レバー下で任意落下(ソフトドロップ)という方式であった。セガテトリスファミコン版の面クリア方式ではなく、ひたすらラインを消していくシステムである。ファミコンテトリスも大ヒットしたわけだが、アーケード版テトリスアーケードゲームでは類を見ないほどのヒットを飛ばし、名作の名を欲しいままにした。それはテトリス自体のゲーム性の高さもあるが、アーケード版テトリスがその後発生するあらゆるテトリスよりも優れていたためであった。その優れた点は「接地から接着までの時間」である。
テトリスのテクニックの一つに「回転入れ」というものがある。隙間の空いた箇所にブロックを回転して入れるテクニックだが、このテクニックを十分に生かすためには適度な接着時間が必要になる。短すぎると回転が終わる前に接着してしまい、それは大きなストレスとなる。特に、ファミコン版よりも落下速度が速くなるアーケード版において、回転入れは必須テクニックである。「接地から接着までの時間」の塩梅の良さがゲームバランスの向上につながり、最高のテトリスと呼ばれる所以となった。
その後、ゲームボーイテトリスが発売される。通信ケーブルを用いた対戦を前面に出したゲームボーイ初期のキラーソフトでもある。ゲームボーイテトリスはアーケード版テトリスの操作系を継承しつつ、回転ボタンを2つにすることで回転技のバリエーションが増えた。しかし、接着までの時間がアーケード版よりも短く、回転入れには余り時間を使えなかった。
その後、数々のテトリスが発表されたが、アーケード版、ゲームボーイ版の出来や人気には遠く及ばず、しかも無駄な差別化のために本来のテトリスの楽しみから外れたアレンジが加えられたりして評判を落とし、テトリスそのものが飽きられ始めていた。個人的にはボンブリスはそこそこ楽しめたが、それでもテトリスの根幹部分の出来はアーケード版に追いついていなかった。
そんな中で、1998年にアリカが「TETRIS THE GRAND MASTER」という作品をアーケードで発表する。それはパッと見地味極まりないシンプルなテトリスに見えた。