Where to go my love / KOKIA
昨年出たアルバム「心ばかり」は様々なタイアップ曲などの編集盤であったため、オリジナルアルバムとしては「moment」以来22ヶ月ぶりのアルバム。前作「moment」では、「人間に戻ってきた」という印象を持っていたが、今回は完全に一人の人間としてのアルバムになったのだった。というか、有り体に言ってしまうとこのアルバムの製作中に長年公私共にKOKIAのパートナーだったディレクターが亡くなっており、そのことに対する感情を強く感じさせるようなアルバムだった。
- アーティスト: KOKIA
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2013/03/20
- メディア: CD
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Dance with the wind
アルバム全体の話になってしまうが、「Fairy Dance」のときのようなアコースティックで暖かいサウンドである。この曲自体はアルバムの中でも小品感というかこの曲単体でパッケージとしてまとまっている感じというか。
愛はこだまする
サウンドは暖かく、「I love you」を歌っているのだが曲の根底にあるものはそんな生優しいものではなく、終盤では「生きよう」と、抗えない重い現実があろうとも前に進むという決意の歌になる。
You are not alone
ちょうど今ファミリーマートの店内で流れているのがこの曲。
軽快な曲調に相手を優しく励ます歌詞。その中で「You are not alone」というメッセージは意外にズドンとした重みがあって心に残る。
liar liar 〜 ロマンティックワルツ
このアルバムの中でもすこぶる特徴的なサウンド。大人っぽいシックな雰囲気だが、歌詞から受ける印象は少女っぽく、全体的に背伸びした少女の姿をイメージさせる。
Something blue & something red
明るい曲調のおかげでザックリ感はそこまでではないのだが、歌詞としては「aigakikoeru」の「HUMANITARIAN」に近い。感情を乗せた言葉を歌のモチーフにするのはいかにもKOKIAらしいというか。
ヒトの中にあるもの
ややオリエンタルな雰囲気を漂わせたサウンドと物語性のある歌詞。「aigakikoeru」の「二人の娘」を彷彿とさせる。ラストで突然曲調が変わってビックリするが楽しい。
微笑みを忘れないように
この辺りからストレートな内容になってくる。そう遠くない未来に大切な人を失ってしまう悲しみ、不安の中で幸せを伝える切なさ。と思ってしまうのだが、結婚式直前の喜びの中の小さな不安と決意みたいな解釈を見かけて「おー」と思った。
夢の途中
KOKIAアルバム名物「歌こそ我が人生」ソング。終わりなき旅を目の前に歩みを進めることを決意する曲。この曲をアルバムの最後に持ってきても良かったのかもしれない。
映画のような恋でした
葬送曲なのだろう。残された者の別れのメッセージというか。詞も曲も全然似通っていないのだけど、人生を映画になぞらえているようで「REAL WORLD」の「最終上映」を思い出した。
Where to go my love
「夢の途中」をラストに持ってきても良かったと書いたものの、この曲もラストを飾るにふさわしい曲。「映画のような恋でした」がスクリーンが降りる終焉だとしたら、この曲はその後劇場の照明が全て落ち、全てが終わる感じ。
全体的に穏やかで暖かなサウンドである一方、歌詞は人の強さ弱さが入り交じった内容で、今までのKOKIAのアルバムの中でもトップレベルでの人間臭さのようなものが感じられた。
初回限定盤はさらにボーナストラックとして「One by one, Day by day(The 5th season concert ver.)」が収録されているのだが、私がAmazonで予約したのはなぜか通常版。予約してわざわざ通常版買うやつなんていないだろ……常識的に考えて……。おのれAmazon!(逆恨み)