や16ぁ

やる気なんて初めから無かったんだなぁ

moment / KOKIA

13ヶ月ぶりのオリジナルアルバム。毎年一枚オリジナルアルバムを出してくれるのはファンとしても嬉しい、と前作でも書いていた。
前作までは包みこむような優しいサウンド、人をちょっとだけ超越した宇宙レベルの視点という感じの世界観だったのだが、今作は「Remember me」の頃のような暖かいサウンドと冷たいサウンドの同居や人間としての生々しさを感じさせる歌詞といった興味深いアルバムに仕上がっていたのだった。

moment 〜今を生きる〜

一人の女性が地面の上に立っている。笑顔でも悲しい顔でもない。凛とした顔つきだ。多くは語らないが、様々な過去があっただろう。しかし過去に拘ること無く、過去を捨てること無く、ただ過去を背負うだけだ。そしてじっと前を向いている。この曲はそんな曲だ。初っ端から歌こそ我が人生ソングかと思ったが、そういうわけではなかった。

te a te

ちょっと暑い初夏の晴天の下という感じのサウンド。歌詞からは人のぬくもりの暖かさを感じさせ、サウンドではのんびりとした朗らかさを感じさせる。ゆったりとした乗り物に乗っているときに聴きたい。

from 16

一瞬フォークソングかと思った。ファーストアルバムの「エリカ」以来かと思わせる青春ソング。大人になって何も変わっていないと思いがちだが、そんなことはなく経った時間の分だけ今の自分を形成する材料になっている。失ったと思っているものも振り返れば、あの頃の友人のことを思い出せば甦る。現在30〜35歳くらいの、いい感じで大人な期間を過ごしてきて人生に疲れ始めたころの人には大変クる曲。同窓会行こうぜ!それは違うかもしれない。

大人のオオカミ

一転してシリアスなサウンド。同じKOKIAの声なのに印象がガラっと変わって面白い。歌詞も一転してひたすら孤独だ。同じ孤独な存在であるオオカミとの邂逅。この孤独感と結局人は一人では生きられないという強烈なメッセージは「from 16」の次の曲だからこそより際立つ。

大丈夫 だいじょうぶ

深夜残業の果ての徹夜明けに聴くと泣ける曲。疲れて、もう何も考えたくないほどに疲れて、感情を表現することにすら疲れたときに聴く。またライナーノーツでこの曲の歌詞が掲載されているページのバックが夜明けのビル街の写真なんだ。ピッタリすぎるぞ。

本当の音

色々想像するものはあったのだが、自分の中で得心したのは、レコード会社のプロデューサーから「こういう曲じゃないと売れないからこういう曲を作れ!」と命令されて自分の心から表現したい音楽ができなくて、しかしなんとかしたいと苦しく足掻いている若手アーティスト。

優しい調べ

前作までのアルバムでは人を超越した視点での楽曲が多かったが、今回のアルバムでは人間として帰ってきている。そして、それを支える人の存在が感じられる。徹夜明けテイストなサウンドのせいなのかもしれないがな。

空でつながっている

「say goodbye & good day」のような卒業式ソング。と思うが励ましソングなのかもしれない。今回のライナーノーツはページごとに違う表情の空の写真が掲載されているのだけど、このページの空が真っ青で雲が真っ白できれいで本当に前向きに羽ばたいて別れるって感じがするんだ。

愛と平和と音楽と

ドストレートラブ&ピース曲。歌うたいとしてできることは、歌をうたうこと。新潟県中越地震のときに作った「私にできること」にテイストは近い。こんな曲KOKIAにしか作れないし歌えない。

5つ目の季節

KOKIAアルバム名物「歌こそ我が人生ソング」。とは言っても、いつもなら自身の振り返りと誓いをもって前に歩き出すだけなのだが、今回は歌を生み出す側と歌を聴く側という関係をくっきりと表現していて、よりリアルというか生々しさがある。

もう一度…

今回のアルバムはステージ録音ということで、コンサートのような体で製作されたのだと思うが、この曲はそんなコンサートのエンディングを飾るに相応しい別れの曲となっている。「ありがとう」という感謝の言葉と「さよなら」ではなく「またいつか」という別れの言葉。宴の終わりという感じだ。

今回のアルバムでは歌詞やサウンドの面白さもあるのだが、KOKIA自身の歌い方が前作に比べてわざと崩した歌い方をしている曲があり、それが曲に迫力を与えたりしててより楽曲を面白くしている。こういういろんなバリエーションのKOKIAを見てみたいと思わせるアルバムでもあった。
あと、付属のフィルムに何が写っているのかよく分からない。

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