や16ぁ

やる気なんて初めから無かったんだなぁ

m:i:III

日本人はまだ幸せなほうだと思う。手練手管を用いて犯人をジワジワとそしてスマートに追い詰めていく過程が楽しいスパイものの傑作「スパイ大作戦」と、トム・クルーズ主演の崩れること前提の計画で行動し、問題が起きたときはアドリブでどうにかして解決していく「ミッション:インポッシブル」をタイトルの時点で区別できるから。向こうは両方とも「MISSION IMPOSSIBLE」だから。
トム・クルーズ版についていえば、1作目は組織内の裏切りによってチームが壊滅。真相究明のために集めたメンバーもそんなすぐに息が合うわけじゃない上にそのチーム内にも裏切り者がいたために絶妙なチームプレーによって犯人をじわじわスマートに追い詰めることがそもそもできない。そのためにその場その場をアドリブアクションで乗り切っていかなければならないのでああなったわけで。2作目は基本的に個人での任務な上にヒロインが自分自身にターゲットの病原体を注入するという想定外な事態になったので、やっぱりその場その場をアドリブアクションで乗り切っていかなければならなかったと考えればああなったのも許せないかい?許せないか。

で、3作目なのだが、基本的に前2作のその場その場をアドリブアクションでどうにかする、という姿勢は変わらない。今回もスマートに事を運べない事情があったからなのだが、それ以前に彼らは存在自体が極秘の組織に所属しているという意識があまりにも足りなさ過ぎる。以下ネタバレあり。
まず序盤、IMFに所属した状態で結婚しようとしている点。いくら訓練教官で一線から退いているとはいえ、秘密が外部に漏れる可能性を自ら持とうとするのはあまりにも意識が足りない。
次、バチカンミッションについて。ミッション終了後、敵ボスを飛行機で護送する際、敵ボスの発言に対してマジギレするイーサン・ハント。最初は証言を得るための演技かと思ったのだが、マジギレ。これだけでもどうかと思うが、さらに仲間が「やめろ!イーサン!」って敵ボスの目の前で堂々とメンバーの名前を呼ぶ点。これはさすがにヒドい。このときのやり取りが原因で、イーサンのフィアンセが特定されてさらわれてしまう。イーサンはまず自分の仲間をどうにかすべきではないのか。今作での最大のミス。
次、上海ミッションについて。潜入するビルの屋根で警備している元人民解放軍(この設定も結構スゴいが、チンピラにしか見えない)の気を引くため、対面のビルからピッチングマシーンでボールを打ち込む…ってそんなのアリか?さらにミッション途中でイーサンはビルの清掃係に姿を見られるし。もう、こいつらにはあらゆる秘密道具よりも先に、「メン・イン・ブラック」のニューラライザーや「おねがいマイメロディ」のはりねずみくん並みの記憶消去装置を開発すべきではないのか。
最後、病院の倉庫でヤるな。

以上の点に不満を持つことがなければ、アクション満載ハラハラドキドキの映画として楽しめるかと思います。