拳児

今日行った医院に置いてあるのだが、非常に面白い。この作品の面白いところは、拳法をテーマにした作品でありながら安易にアクションに頼ることなく、その拳法の歴史的背景や中国の文化についてまで丁寧に書き込んでいるところだろう。この作品では八極拳が主として扱われるが、八極拳の歴史から自然、地球、そして宇宙と一体化するという八極拳の行き着く先についてまでを濃密に解説していく漫画を私は他に知らない。
また、この作品で大事なのは、中国の文化である。例え血が繋がっていなくても、一族の長が家族と認めれば家族であり、家族は非常に強い絆で結ばれており、遠い地であっても家族に対しては最大限の助力を惜しみなくするという姿勢には感動すら覚える。この考え方を日本で色濃く受け継いでいるのがヤクザというのもいかがなものかと思うが、個ばかりを重んじ、家族など身内の関係を蔑ろにしがちな昨今、見つめなおしてみるべき考え方ではないだろうか。独り大好きな私が言うのもアレだが。